近年、足つぼが大きな注目を集める中、最近では、病院や診療所などで、針灸治療を行っているようなところが、増加してきています。針灸治療は、癌、ウィルス・細菌感染などの病気には、あまり効果は期待できません。しかし、西洋医学の治療では効果が得られなかったような、慢性的な痛みやしびれには、特に有効であることが明らかになっています。針灸療法で針を刺したり、灸をすえたりする治療点は、ツボ(経穴)と呼ばれる場所です。ツボは、経路の上にあります。経路というのは、「気と血」の通り道です。では、このツボ、および経路というのは、どのような場所にあり、どういった役割をしているものなのでしょうか?
日本で決められたツボの数は、全部で361です。そしてその多くが、足に集中しています。このことから、足つぼが人気を集めています。ただし、ツボは、体に無秩序に広がっているわけではありません。一定のラインに沿って並んでいます。このツボを結んだ線が、「経路」です。その数は、数多くありますが、代表的な経路は14本です。
五臓六腑という言葉を聞いたことがあると思います。では六臓六腑は、どうでしょうか?六臓六腑とは、この五臓六腑に、心包(しんぽう)の臓を含めて、六臓六腑としたものです。それぞれの臓腑に対応し、六臓六腑をめぐり、各臓腑の調整を行う経路が12本存在しています。
さらに、残りの2本の経路は、顔、胸、腹の中心を通る、任脈(にんみゃく)、背中のまんなかから頭を通る督脈(とくみゃく)です。これらのふたつの経路は、12本の経路「十二経」を流れるエネルギーの過不足を調整するという、重要な役目を担っています。ただし、ここでいうエネルギーとは、東洋医学独特の「気血」という概念のことです。
足つぼ療法は、最近とても人気があるようです。実は、このツボ療法は、かなり長い歴史を持っています。針灸の起源は古代中国です。今から、およそ2000年以上も昔から、人間の身体の特定の場所を温めたり、あるいは、石などで刺激したりすることによって治療の効果が得られるということを、その当時の人々は、すでに知っていたのです。どの場所に、どんな刺激を与えればどのような病気にたいして効果があるのか、医学者たちは経験を積み上げていきました。
そして、それらの成果を一冊の本にまとめたのです。それが、今日でも残っている、最古の医書である『黄帝内経』です。この書には、人体の生理、病理、養生法について記述されています。また、それに針灸治療の基本となる、ツボ(経穴)や、ツボを結んだ経絡、および、治療に関する理論などが解説されています。中国のこうした理論が、日本に伝えられたのは414年だとされています。
しかし、その後、針灸が一般に広がるまでにはかなりの長い年月がかかりました。一般の人たちが、針灸の恩恵を受けられるようになったのは、室町時代に入ってからだと言われています。そして、江戸時代には、日本独特の針灸治療が生まれました。しかし、江戸時代に発展をとげた針灸治療は、明治維新以後、西洋医学の導入の中で、衰退していくことになります。
