近年、西洋医学ではなかなか効果が得られない疾患に対する治療法として、または、西洋医学と併用する治療法として、東洋医学が注目を集めています。足つぼ療法は、針灸治療と並び、あるいは、針灸治療よりも比較的容易に施術可能な治療法として、最近人気が高まっています。
東洋医学の考え方の基礎となっているのが、古代中国の哲学である「陰陽論」と「五行論」です。陰陽論の考え方とは、宇宙の全てのものは、陰と陽の二つの相反する要素から成り立っているというものです。一方、五行論とは、然界の様々な現象を、「木火土金水」という、5つの要素に分けて、その因果関係を説明しようというものです。
人間の体内にある、臓器、五臓六腑も、全て5つにあてはめて考えられています。
●「木」に属するもの・・・肝の臓、胆の腑
●「火」に属するもの・・・心の臓、小腸と三焦の腑
●「土」に属するもの・・・脾の臓、胃の腑
●「金」に属するもの・・・肺の臓、太陽の腑
●「水」に属するもの・・・腎の臓、膀胱の腑
そして、病気とは、これらの五行の乱れによって、生じるものであると考えられています。所属する臓器に異常が生じるというわけです。従って、木火土金水の五行の調和を考えながら、五行に属する五臓六腑を調節することによって、病気を治療するという考えで成り立っています。
ツボが存在する経路には、肺経、太陽経等があります。肺の臓をめぐる経路には、肺経、太陽の腑をめぐる経路には、太陽経というように、それぞれが、めぐる臓腑の名前が付けられています。そして、これらの経路は、関連の臓腑にエネルギーを与える役目を持っているというわけです。そして、ツボ療法も、このような考え方に従って、不調な臓器に対応する足のツボを刺激するというものなのです。
足つぼ療法は、最近とても人気があるようです。実は、このツボ療法は、かなり長い歴史を持っています。針灸の起源は古代中国です。今から、およそ2000年以上も昔から、人間の身体の特定の場所を温めたり、あるいは、石などで刺激したりすることによって治療の効果が得られるということを、その当時の人々は、すでに知っていたのです。どの場所に、どんな刺激を与えればどのような病気にたいして効果があるのか、医学者たちは経験を積み上げていきました。
そして、それらの成果を一冊の本にまとめたのです。それが、今日でも残っている、最古の医書である『黄帝内経』です。この書には、人体の生理、病理、養生法について記述されています。また、それに針灸治療の基本となる、ツボ(経穴)や、ツボを結んだ経絡、および、治療に関する理論などが解説されています。中国のこうした理論が、日本に伝えられたのは414年だとされています。
しかし、その後、針灸が一般に広がるまでにはかなりの長い年月がかかりました。一般の人たちが、針灸の恩恵を受けられるようになったのは、室町時代に入ってからだと言われています。そして、江戸時代には、日本独特の針灸治療が生まれました。しかし、江戸時代に発展をとげた針灸治療は、明治維新以後、西洋医学の導入の中で、衰退していくことになります。
