西洋医学と併用したり、あるいは、西洋医学では効果が期待できない慢性的な痛みなどに対して、ツボ治療、特に、ツボが集中している足つぼの療法が、大きな注目を集めています。しかし、ツボを治療すると、なぜ様々な効果が得られるのでしょうか。
身体が健康である、健全であるというときというのは、気血のエネルギーが、全身にまんべんなく、とどこおりなく円滑にめぐっている状態です。それが、ある場所で、流れがとどこおったり、停止したりすると、苦痛が出てきます。例えば、胃もたれが起こってきたとします。これは、胃をめぐる胃経という経路のエネルギーの循環が、悪化しはじめたことを示しています。
治療者は、身体を丁寧にさぐります。そして、胃経の特定のツボのところで、エネルギーの流れが停滞していることを知ります。こうして、さぐりあてたツボに、針や灸を施術して、刺激を与えます。そして、エネルギーの流れを取り戻し、症状を緩和し、胃の機能を回復させることができるのです。つまり、ツボは、病気が現れる場所であり、同時に、治療のポイントにもなるものなのです。
従って、治療を行う際には、どのツボを選ぶのかが、重要な鍵になります。例えば、消化器系の足つぼは、崑崙(こんろん)です。崑崙は、外くるぶしのうしろ、アキレス腱の前のくぼみあたりにあります。また、ツボ療法は、症状が軽いうちに始めることが重要です。軽いうちに、的確なツボの位置をとらえること、そして、早めにツボ指圧を始めることで、家庭でも十分な効果が期待できます。
足つぼ療法は、最近とても人気があるようです。実は、このツボ療法は、かなり長い歴史を持っています。針灸の起源は古代中国です。今から、およそ2000年以上も昔から、人間の身体の特定の場所を温めたり、あるいは、石などで刺激したりすることによって治療の効果が得られるということを、その当時の人々は、すでに知っていたのです。どの場所に、どんな刺激を与えればどのような病気にたいして効果があるのか、医学者たちは経験を積み上げていきました。
そして、それらの成果を一冊の本にまとめたのです。それが、今日でも残っている、最古の医書である『黄帝内経』です。この書には、人体の生理、病理、養生法について記述されています。また、それに針灸治療の基本となる、ツボ(経穴)や、ツボを結んだ経絡、および、治療に関する理論などが解説されています。中国のこうした理論が、日本に伝えられたのは414年だとされています。
しかし、その後、針灸が一般に広がるまでにはかなりの長い年月がかかりました。一般の人たちが、針灸の恩恵を受けられるようになったのは、室町時代に入ってからだと言われています。そして、江戸時代には、日本独特の針灸治療が生まれました。しかし、江戸時代に発展をとげた針灸治療は、明治維新以後、西洋医学の導入の中で、衰退していくことになります。
