特に女性の、大きな悩みのひとつとして、手足の先がずっと冷たい、冷え性ということがあるのではないかと思います。夏、額には汗が流れているのにもかかわらず、手足は冷たいままであることを訴える人は、案外多いのです。しかも、やはり女性に多いのが特徴です。東洋医学では、冷えは、肝経(かんけい)と腎経(じんけい)という、特定の経絡に気血のとどこおりがあることによって起こると言われています。
そのため、治療の際には、これらの二つの経絡に所属するツボを中心に、治療を進めていきます。腎経では、足つぼの湧泉(ゆうせん)と太けい、肝経では、やはり、足つぼの太衝(たいしょう)というツボを刺激していきます。さらに、足の三陰交(さんいんこう)も、効果的とされています。足つぼ以外では、おなかの中かん、背中の肝愈(かんゆう)も、補助的な効果があると期待されています。
一方、冷え性とは逆の症状ですが、ほてりを感じるという女性も多いようです。中には、冷え性であり、かつ、ほてりもあるという人もいます。全く正反対の症状に思える、冷え性とほてりですが、いずれも、血液の循環がスムーズに行われていないことが、原因であるという点で、共通しています。ほてりの場合にも、刺激するのは、冷え性の場合と同様のツボとなります。
足つぼを丹念に指圧する他に、しょうが灸を毎日続けるというのも、効果があるとされています。また、冷え性解消のために、日常生活の中でも、足をよく動かすようにしてみてください。足首を回したり、青竹踏みをするのも、足の裏全体にわたる足つぼをまんべんなく刺激するのに絶好の方法であると言えるでしょう。
足つぼ療法は、最近とても人気があるようです。実は、このツボ療法は、かなり長い歴史を持っています。針灸の起源は古代中国です。今から、およそ2000年以上も昔から、人間の身体の特定の場所を温めたり、あるいは、石などで刺激したりすることによって治療の効果が得られるということを、その当時の人々は、すでに知っていたのです。どの場所に、どんな刺激を与えればどのような病気にたいして効果があるのか、医学者たちは経験を積み上げていきました。
そして、それらの成果を一冊の本にまとめたのです。それが、今日でも残っている、最古の医書である『黄帝内経』です。この書には、人体の生理、病理、養生法について記述されています。また、それに針灸治療の基本となる、ツボ(経穴)や、ツボを結んだ経絡、および、治療に関する理論などが解説されています。中国のこうした理論が、日本に伝えられたのは414年だとされています。
しかし、その後、針灸が一般に広がるまでにはかなりの長い年月がかかりました。一般の人たちが、針灸の恩恵を受けられるようになったのは、室町時代に入ってからだと言われています。そして、江戸時代には、日本独特の針灸治療が生まれました。しかし、江戸時代に発展をとげた針灸治療は、明治維新以後、西洋医学の導入の中で、衰退していくことになります。
