よく知られていることですが、足の裏にはツボが集中しています。このことから、ツボ療法の中でも、足つぼは、特に有名です。しかし、ツボ、すなわち経穴は、実は、身体全体に広がっています。こういったツボを刺激することによって、なぜ、身体の状態が改善したり、あるいは、良好に維持できるようになったりするのでしょうか?その理由については、明治時代から、ずっと研究がなされてきました。これまでに検討されてきた、ツボ刺激の作用は、次のようになっています。
1.消化器・呼吸器・泌尿器系の器官を調節する。
胃や小腸などの消化器の運動・分泌機能が低下している場合、ツボ刺激を行うと、その機能が亢進するのは、非常に興味深いことです。一方、亢進している場合には、ツボ刺激によって、抑制する効果があります。つまり、正常な状態にもどすように働くというわけです。呼吸器や泌尿器についても、同様です。換気量、利尿・排尿機能の調節を行う効果があります。
2.血液ならびに血液循環を良くする。
足先が冷えている人に、ツボ刺激を与えると、改善の効果が得られます。例えば、片足だけにツボ療法を行い、左右の皮膚温度をサーモグラフィーなどで比較してみると、その効果は歴然です。ツボ刺激を行った方の足先は、皮膚温度が上昇していることが明確に分かります。
3.神経系に影響を与え、痛みを抑える。
ツボを刺激すると、モルヒネに似た物質が体内にできます。この作用によって、痛みが抑えられるといわれます。
4.内分泌系(ホルモン)の調整を行う。
5.生体防御機能を調節する。
足つぼ療法は、最近とても人気があるようです。実は、このツボ療法は、かなり長い歴史を持っています。針灸の起源は古代中国です。今から、およそ2000年以上も昔から、人間の身体の特定の場所を温めたり、あるいは、石などで刺激したりすることによって治療の効果が得られるということを、その当時の人々は、すでに知っていたのです。どの場所に、どんな刺激を与えればどのような病気にたいして効果があるのか、医学者たちは経験を積み上げていきました。
そして、それらの成果を一冊の本にまとめたのです。それが、今日でも残っている、最古の医書である『黄帝内経』です。この書には、人体の生理、病理、養生法について記述されています。また、それに針灸治療の基本となる、ツボ(経穴)や、ツボを結んだ経絡、および、治療に関する理論などが解説されています。中国のこうした理論が、日本に伝えられたのは414年だとされています。
しかし、その後、針灸が一般に広がるまでにはかなりの長い年月がかかりました。一般の人たちが、針灸の恩恵を受けられるようになったのは、室町時代に入ってからだと言われています。そして、江戸時代には、日本独特の針灸治療が生まれました。しかし、江戸時代に発展をとげた針灸治療は、明治維新以後、西洋医学の導入の中で、衰退していくことになります。
